2.5 本研究の研究課題

上述した先行研究の問題点をふまえて、本研究の目的に応じて、本研究の具体的な研究課題として、以下の5点を挙げることができる。

①「発話」という基礎単位を用い、「あいづち的な発話」の使用状況を調べ、日中両言語の依頼談話における依頼者と被依頼者の談話への参加態度を考察する。

②「話段」という単位を用いて、それぞれの言語による依頼談話における「話段」の種類、特徴を検討する。その際、「話段」を特徴付けるものとして、話題·話者の目的·発話機能のほかに、談話構成に関わる言語要素の使用も視野に入れて考察する。

③「話段」の出現位置および出現順序によって、日中両言語における依頼談話の構造パターンを明らかにする。その過程において、「小話段」という単位を用いて、「話段」の内部構成を分析し、依頼者と被依頼者の言語行動を究明する。

④上下関係の有無による依頼談話の特徴を分析し、日中の学校生活における序列意識の在り方を明らかにする。

⑤上述した4点をまとめ、日中対照研究の立場から、日中両言語における依頼談話の相違点およびそれらの相違点を生じる文化的要因の考察を試みる。